Tobii Eye Tracker 4Cという製品をご存じですか? ユーザーが何処を見ているのかを測定する アイトラッキング を行う機材です。
Assassin's Creed ® Syndicate などのゲームで利用できます。
今回取り上げるのは上記民生用製品ではなく……
業務用製品のTobii Proを Vive に組み込んだ製品となります。
実際にその製品でサンプルアプリを動かした様子を撮影しましたのでご覧下さい。
Tobii Pro VR Integration
Tobii Pro VR Integration はレンズの周囲にセンサーが増えた程度(画像赤線で囲った部分)で一見純正 Vive と変わらないレベルでアイトラッキング機能が融合しています。
そのため、追加で専用の接続ケーブル等が必要ありません。 これまで通りに USB ケーブル一本、 HDMI ケーブル一本挿すだけです!
運用に優しい、素晴らしい!!
※本体写真は、アイトラッキング技術のVive用の開発キット「Tobii Pro VR」です
(機材協力:AOI Pro.)
初期セットアップ
必要なソフトや SDK などはTobii Pro SDK
のダウンロードページにあります。
メールアドレスや氏名、会社名等の記述が必須となっているので記述してダウンロードします。
もちろん Unity の SDK もあります!
The Tobii Pro SDK for Unity is an adaptation of the .NET binding that is compatible with Unity's version of C# (.NET 3.5 / Mono).
最近のバージョンでは動くものと思われます。
上記 URL から落とせる SDK では最低限のもののみでデモ用の Scene ファイルやキャリブレーション部分等が入っていない点に留意してください。
Vive に組み込まれているという特性上、 SDK とは別に 「 SteamVR Plugin 」 が必須ですのでこれもインポートしておきましょう。
機能等詳細
キャリブレーション
アイトラッキング機能を使う前に、個々人の目の位置や動きを補正するキャリブレーションを行う必要があります。
Tobii のキャリブレーションは二段階で行われます。
まず下記画像のように Vive を被る位置のキャリブレーションです。
緑色の円がなるたけ各々の正方形の中央に来るように位置を調整します。
続いて、ピンク色の玉を目で追いかけて個々人にあったキャリブレーションを行います。
アイトラッキング機能を搭載した製品は大抵キャリブレーションを事前に行うようにするものですが、
Tobii の便利な所はこのアイトラッキング機能を自由に Unity で実装出来るという点です。
UI/UX をカスタマイズできるので、アプリの世界観を壊さずにキャリブレーションをユーザに行わせることができます。
※ (2017年11月29日現在)
キャリブレーション機能のサンプルシーンが同梱された Unitypackage は問い合わせることで入手できます。
資料を読んで自力で実装するのはかなり難易度が高いと思われます。
必ず貰った方が良いと思います!!
精度
恐ろしい程高い精度を持っています!!
これまで幾つかアイトラッキング機能を搭載した製品を試したことがありますが……
そのほとんどが「実際の目の位置」と「画面に表示される視線の位置」に差が出てしまうような精度でした。
(その差を人間が補正しなければならず、実用には耐え難い時も……)
Tobii は意識せずに自然に見ている場所をトラッキングできます。
視線で UI 操作を (目に力を入れなくとも)ストレスなく自然にできてしまいます。
(私は極度の乱視と斜視があり一般的なアイトラッキング機器では太刀打ちできない事が多いのですが、 Tobii Pro は全く意識せずに見た所が認識されていました)
また、下記画像の赤枠のような非常に小さいオブジェクトに対してもしっかりと目線で選択することができます。
まとめ
- 機器の完成度(Vive との融合)
- アイトラッキングの精度
- 開発者の実装のしやすさと自由度
Tobii Pro VR Integration はこれらが高いレベルで作られています。
本製品が一般に普及した際には、 VR 空間での操作方法は大きく変わると思います。
また、画面の外周部は解像度を落としてレンダリングすることで負荷軽減を図るという技術が既にありますが、 本製品ならば、見ている部分以外の解像度を落とすという手法がとれてレンダリング負荷も大きく下がると思われます。
現状 Tobii Pro VR Integration は約200万円と業務用ゆえのお値段ではあるのですが、
VR 技術の廉価化の早さを考えると早期にこの精度のアイトラッキング機能が民生機に搭載される日も近いのでは?と期待したいところです!!